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【専門家監修】化粧品に界面活性剤が必要な理由|天然界面活性剤についても解説

「界面活性剤は安全?」
「界面活性剤化粧品にはどのようなものがあるの?」
など、化粧品を使う際に界面活性剤について気になるという方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、界面活性剤の基本的な知識を踏まえつつ、肌への影響などについてご紹介します。

 

この記事を読むことで、化粧品の界面活性剤についての基礎知識に加え、化粧品を利用する際に気にかけておきたいポイントが分かります。

 

肌や化粧品選びに悩みを抱えている方や化粧品の成分について関心のある方はぜひこの記事を参考にしてみて下さい。

界面活性剤とは

界面活性剤は構造中に、水になじむ親水性部分である親水基と水になじまない親油性部分である疎水基の両方を持っているため、少量で水や油の表面または界面の性質を変化させることができます。

 

交じり合っていない水と油の境目を「界面」と呼びます。その両者をつなぎ、境目なく自由に動き回れるよう活性化させることから「界面活性剤」と命名されました。

 

出典:界面活性剤の基本構造|日本界面活性剤工業会

参照:https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

化粧品に界面活性剤が使われる理由

界面活性剤はや石鹼やクレンジング剤などの化粧品にも広く利用されています。ではどのような目的で使われているのでしょうか。

 

化粧品に界面活性剤が使われる主な理由は、化粧品の安定性を保つためと美容成分の浸透を促すためです。

 

水と油のように、本来混ざり合わない液体同士が混じり合った状態に変化することを乳化といい、界面活性剤はその状態を安定させる乳化作用があります。

 

また、界面活性剤の効果として他には浸透性を高めるというのもあります。

 

天然界面活性剤と合成界面活性剤の違いとは

界面活性剤には天然界面活性剤と合成界面活性剤とがあります。

 

天然界面活性剤とは、植物由来など自然界のものから抽出した界面活性剤のことであり、それに対して人工的な合成によって作られたものを合成界面活性剤といいます。

 

自然界に存在する天然界面活性剤には、大豆や卵黄に含まれるレシチン、牛乳のカゼイン、大豆・ムクロジ、高麗人参など多くの植物に含まれるサポニンなどがあります。サポニンは気泡力があり、かつて多く含む植物が石鹸代わりとして使用されていました。

 

しかし、天然界面活性剤の活性力は弱いため、化粧品に利用される界面活性剤は合成のものが主流といわれています。合成界面活性剤にはラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Naなどがあります。

 

例として洗浄成分が優しいとうたわれている洗顔料やシャンプーなどはアミノ酸系の親水基と、天然ヤシ油系の親油基を組み合わせて作られた界面活性剤が多いといわれています。

 

また、乳化剤として使われる界面活性剤は、製品の成分との相性もあるためそれらを総合的に考えた上で、配合する界面活性剤の種類や量が設計されています。

 

出典:レシチン (lecithin)|日本界面活性剤工業会

参照:https://jp-surfactant.jp/surfactant/term/index.html

 

出典:サポニンとは|健康長寿ネット

参照:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/saponin.html

 

合成界面活性剤を使用した化粧品が肌に与える影響

化粧品には合成界面活性剤が使われていることがあります。それらの髪や肌への影響は良いものばかりではありません。

 

合成界面活性剤には品質保持や特定の効果をもたらす利点がある一方で、脱脂力が強いものであったりすると、皮膚トラブルの原因となることがあります。

 

 

例えば、洗顔料やシャンプー、ボディソープなどの洗浄製品に使われる合成界面活性剤には、肌の角層細胞間脂質を壊してしまうモノマーが無数に存在するため、洗い流さず塗ったまま放置すると、重篤な肌荒れを起こしてしまう可能性があります。

 

界面活性剤の種類

界面活性剤には、親水基と親油基の組み合わせによりとても多くの種類が存在しますが、一般的に水に溶解したときに帯びるイオンの種類によって、以下の4種類に分類されています。

非イオン界面活性剤

非イオン界面活性剤は、別名ノ二オン界面活性剤とも呼ばれており、界面活性剤の中で唯一電気を帯びない界面活性剤です。

 

出典:非イオン(ノニオン)界面活性剤|日本界面活性剤工業会

参照:https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

 

他の界面活性剤同様、乳化、可溶化、洗浄、気泡性などの作用がありますが洗浄力は弱く、洗浄が目的で配合する場合には他の種類の界面活性剤と合わせて用いられることが多いです。

両性イオン界面活性剤

両性イオン界面活性剤は、プラスとマイナス両方の性質を持つ界面活性剤です。

皮膚への刺激性が弱いため、ベビーシャンプーの成分や、他の界面活性剤の洗浄力や皮膚刺激性を調整するのにも使われます。

 

出典:両性界面活性剤|日本界面活性剤工業会

参照:https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

 

陽イオン界面活性剤

陽イオン界面活性剤は潤滑、柔軟、殺菌に優れた効果が期待できます。

 

陽イオン界面活性剤は、界面活性剤の中でも殺菌作用が強いとされ、肌に刺激を与えやすいといわれています。

 

出典:カチオン界面活性剤|日本界面活性剤工業会

参照:https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

 

陰イオン界面活性剤

陰イオン界面活性剤は、水に溶けたときにマイナスの電気を帯びる、陽イオン界面活性剤と反対の性質を持っています。

 

陰イオン界面活性剤は洗浄力が強く、泡立ちが良いため、主に石鹸やシャンプーなどの主成分として用いられています。

 

出典:アニオン界面活性剤|日本界面活性剤工業会

参照:https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

 

肌にとって合成界面活性剤入りの化粧品がよくないと言われる理由

肌の角質層表面と角質細胞同士の間には、表皮ブドウ球菌やアクネ菌などの菌が住んでいます。

 

菌というと肌に良くないというイメージがあるかもしれませんが、良い菌が一定数以上住んでいる方が、肌状態が良いことが分かっており、皮脂を分解し生み出した成分によって肌に潤いを与えたり、pHを弱酸性に保つなど、肌の健康を助ける優れた効果を持っています。

 

しかし、合成界面活性剤には強い脱脂作用と殺菌作用があるため、それらによって菌のエサになる皮脂が洗い流されてしまったり、悪い菌だけでなく良い菌まで殺されてしまったりすることがあるのです。

 

また、合成界面活性剤は菌の住処である角質層を壊す働きもしてしまいます。

 

このように合成界面活性剤には肌にとって大切な菌を殺してしまったり、住処を壊してしまったりする可能性があるのです。

 

化粧品を利用する際に気にかけておきたいポイント

合成界面活性剤入りの化粧品を使用する際には、いくつか気にかけておくと良いポイントがあります。

 

合成界面活性剤と上手に付き合うためには以下のようなことを実践してみると良いでしょう。

合成界面活性剤に頼り過ぎないよう気をつける

例えば洗顔をする際、メイクや皮脂汚れを綺麗に落とすために、洗浄力の強い洗顔料を使うこともあると思います。

 

しかし強い洗浄力を持った合成界面活性剤は肌への刺激も強いため、肌トラブルにつながることもあります。

 

合成界面活性剤による肌へのダメージを抑えるため、合成界面活性剤に頼り過ぎず、天然界面活性剤を使った化粧品を選ぶようにすると良いでしょう。

 

食生活を見直すことも必要になってくる

肌荒れが良く気になっているなど、肌への悩みがある方は界面活性剤以外に食生活から見直してみるのも良いかもしれません。

 

例えば、脂肪の多い食事ばかりしていると肌の皮脂分泌バランスが崩れてしまい、過剰に分泌された皮脂が毛穴を詰まらせてしまうこともあります。

 

皮脂などのバランスを整えて、肌の健康を保つためにも食生活の改善は役立つと言えるでしょう。

化粧品に含まれる界面活性剤について知ろう

いかがでしたでしょうか。

 

界面活性剤の特徴や種類などがお分かりいただけたと思います。

 

目的や用途に合ったものを選ぶことで、肌トラブルを避けることができます。

 

成分表示をみて化粧品を選ぶ際には、ぜひ本記事を参考にしてみて下さい。

 

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監修者
青山ラジュボークリニック
https://rajeubeau-clinic.com/wp/
院長 沼本 秀樹 先生(医学博士)

順天堂大学医学部卒業。医師としてアトピーや敏感肌などの悩みを持った患者と数多く向き合ってきた経験から自身で東京青山にて美容系ラジュボークリニックを開業。女性の肌の悩みを解決できる良質なサービスを提供し続けている。

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